ハンターカブCT110が生産を終了した後、それに代わるモデルとして2013年に登場したのがクロスカブ110である。初代モデルはレッグシールドを装備するなどスーパーカブに近いスタイルだったが、2018年登場の2代目ではハンターカブに近いフォルムとなった。だがCT125の登場でクロスカブの立場はどうなる?



REPORT●栗栖国安(KURISU Kuniyasu)

PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ホンダ クロスカブ110……341,000円(消費税10%を含む)

コミューターとして使いやすいだけでなく、自然に親しむツーリングにも最適

 現行のクロスカブ110はハンターカブ然としたアクティブなボディスタイリングが特色だ。そしてレジャーバイクとして幅広い年代から支持されている。CT125・ハンターカブの登場でクロスカブ110は、中途半端な位置に追いやられてしまったように思うかもしれないが、クロスカブはもともと、ハンターカブ登場までの橋渡しバイクとして開発されたわけじゃない。たしかにコンセプトは近いかもしれないが、クロスカブはレジャーバイクとしての良さを前面に押し出しながらも、普段使いに便利な日常性の高さがひとつのウリなのだ。

 2代目クロスカブ110はスーパーカブ110よりひと回り大きい。また装備のちがいから車重も7㎏ほど重たい。しかし取り回し性に大差はなく、乗り心地やポジションに関してはクロスカブのほうが優れている。ただし、最低地上高が22mm高く、シート高も50mmほど高いので足は着きにくい。

 109㏄空冷SOHC2バルブ単気筒のエンジンスペックはスーパーカブとまったく同じで、低中速トルク型。もちろん自動遠心クラッチ式4速ミッションを備えている。2次減速比のちがいでクロスカブのほうが低速でより力強い走りを見せるが、まあほとんど体感できないレベルだ。

 このように性能面ではスーパーカブと大きな差はないが、仕事に使うのではなく積極的に遊びの道具として使いたくなるのがクロスカブ最大の魅力だ。そして実際に、遊びのフィールドを広げてくれる。

CT125よりコンパクトなボディながら、ゆとりあるポジションを実現
スリムなボディはすっきりとしたリアビューを見せる
シート高は784mmだが、シート形状やサスペンションの沈み込みの関係から足つき性はイマイチ
安心感があるからダート林道にも躊躇することなく入り込める

 784mmと高めのシートなので、足つき性は良くない。シート形状やサスペンションの作動性の問題からか、800mmのシート高があるCT125より足が着きにくいと感じるところもある。ただ、車体を引き起こすときの重さは明らかにクロスカブのほうが軽く、取り回しでの不安はない。

 クロスカブは楽しいバイクだとボクは思っている。初代モデルには約2年間乗っていたし、現行モデルでも何回もツーリングに利用している。そしてツーリングに出るたびに、気軽に付き合えて、どんな場所にも躊躇なく入り込んでいける安心感があるなと、絶大な信頼を寄せている。

 エンジンは決してパワフルなわけじゃない。アクセルを開けたときの力強さではCT125に劣る。だがスムーズにレスポンスしてくれるので、多少雑なアクセル操作をしちゃっても不安な挙動は起こさない。エンジンには伸びもあるから一般道での走行に問題なし。それこそ80km/hのスピードで流れる郊外の国道バイパスだって、流れに乗って走れる。山道に入って登りが続く状況では、もう少しトルクがほしいなと感じることもあるけれど、先を急がずのんびり行けばいいかと気持ちを切り替えれば大した問題じゃない。実はこの辺の感覚はCT125にも感じた。クロスカブに比べてパワーはあるがそのぶん車重も重たいので、結果的には大差ないのだ。

 今回の試乗では、ツーリングユースを想定して林道へ向かった。メインステージは一応、舗装された林道だったが、路面は所どころ荒れていて砂や土も浮いていた。はっきりいって一番滑りやすい状況だったので無茶な走り方はしない。慎重に前進しつつも久々の林道ツーリングを楽しんだ。それができるのもエンジンがスムーズで車体が軽いからだ。

 ダート林道にももちろん入り込んだ。車が通った形跡のない狭い道は、深くえぐられた箇所があったりぬかるみがあったりと走りやすい状態ではなかった。なので時折足を着きながらの走行だったけれど、クロスカブでは緊張もなく走破できた。このとき同時にCT125でも走ってみたのだが、たしかに走破性では一歩レベルが高い。サスペンションの吸収性に差があると感じた。しかし重量があるので気を遣った。オフロードテクニックのレベルが低いボク程度のライダーでは、クロスカブのほうが不安なくダートを走らせることができる。

 距離は短かったが、こうしてCT125・ハンターカブとクロスカブ110を乗り比べながら林道ツーリングを楽しんでみた結果、スタイルや装備の面ではたしかにCT125に惹かれる要素が多い。仮にロングツーリングに使った場合、快適性でも上だと思う。でもクロスカブには気軽に付き合える親しみやすさがある。この親近感が安心感につながり快適なツーリングを約束してくれる。性能的には不利だが、同じ土俵に上がってもいい勝負ができるんじゃないかと思う。ただし、ダウンマフラーなので川渡りは厳しいかもしれないけれど。ちなみに価格差はおよそ10万円。クロスカブでいいやではなく、クロスカブがいいと改めて思った。

スーパーカブ110と同じ空冷SOHC2バルブ単気筒エンジンがパワーユニット
マフラーはダウンタイプを採用している。音も静かだ
ブレーキは前後ともドラム式。だが制動力に不足はない
自動遠心クラッチ式4速ミッションはシーソー式のチェンジペダルで操作する
LED採用の丸型ヘッドライトはヘッドライトガードを装備
テールランプ、ウインカーランプは通常の電球だ
やたらに目立つアナログ式の大きなメーター。存在感がありすぎるが見やすいのは事実

大きなアップハンドルが快適な上体を生み出す
チェーンカバーを採用しているところはスーパーカブを踏襲
スーパーカブ同様、シートはキーなしの開閉式。給油口はキーロック式となっている。燃料タンク容量は4,3L
CT125ほど大きくはないが、荷物の積載能力が高い大型リアキャリアが装備

主要諸元

通称名:クロスカブ110/クロスカブ110・くまモン バージョン

車名・型式:ホンダ・2BJ-JA45

全長×全幅×全高 (mm):1,935×795×1,090

軸距 (mm):1,230

最低地上高(mm)★:157

シート高(mm)★:784

車両重量(kg):106

乗車定員(人):2

最小回転半径(m):2.0

エンジン型式・種類:JA10E・空冷 4ストローク OHC単気筒

総排気量(㎤):109

内径×行程(mm):50.0×55.6

圧縮比★:9.0

最高出力(kW[PS]/rpm):5.9[8.0]/7,500

最大トルクN・m[kgf・m]/rpm):8.5[0.87]/5,500

燃料消費率(※1)(km/L):

・国土交通省届出値…定地燃費値(※2)(km/h)…61.0(60)<2名乗車時>

・WMTCモード値★…(クラス)(※3)…66.7(クラス1)<1名乗車時>

燃料供給装置形式:電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)>

始動方式★:セルフ式(キック式併設)

点火装置形式★:フルトランジスタ式バッテリー点火

潤滑方式★:圧送飛沫併用式

燃料タンク容量(L):4.3

クラッチ形式★:湿式多板ダイヤフラムスプリング式

変速機形式:常時噛合式4段リターン(※4)

変速比:

 1速…2.615

 2速…1.555

 3速…1.136

 4速…0.916

減速比(1次★/2次):4.058/2.642

キャスター角(度)★/トレール量(mm)★27°00´/78

タイヤ:前…80/90-17M/C 44P、後80/90-17M/C 44P

ブレーキ形式:前/後…機械式リーディング・トレーリング

懸架方式:前…テレスコピック式、後…スイングアーム式

フレーム形式:バックボーン



■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)

■製造事業者/本田技研工業株式会社

※1燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。

(※2)定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。

(※3)WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。

(※4)走行中はリターン式で、停車時のみロータリー式になるチェンジ機構です。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 「やっぱりクロスカブがいい」 CT125・ハンターカブの登場で、魅力を再認識したハナシ。|ホンダ