今やファーストカーとして使われることが多いスーパーハイトワゴンは、求められる性能や質感も高まり続けている。日産自動車が初めて開発する軽自動車として先行して発売されたデイズとともにルークスには最新の技術やメカニズムが惜しみなく投入され、取り安全に使いやすく仕上げられれた。さらには、メインターゲットであるヤングファミリーが将来的にミニバンへと乗り換える際にも日産車が選ばれるよう、満足ゆくカーライフを過ごせるクオリティが与えられている。



REPORT●安藤 眞(ANDO Makoto)/編集部

※本稿は2020年4月発売の「日産ルークスのすべて」に掲載されたものを転載したものです。

「インテリジェント軽ミニバン」を標榜する

全幅:1475mm
全高:1780mm
全長:3395mm

新型ルークスは軽自動車規格の全長・全幅の制約がある中で持てる技術を集結させ、日産の強みであるインテリジェントモビリティコンセプトに、室内の広さと使い勝手というミニバン要件を融合させている。

ゆとりの車内空間を構築

大人4人がゆったりと快適に過ごせる空間を構築するために、先代からホイールベースを65㎜拡大。そのほかにも新発想の後席ロングスライド機能の搭載や、乗員を座らせる位置を高くやや前にすることで見晴らしの良さと後席空間及び荷室空間を拡大している。

ペダルレイアウトの見直しで、より快適に操作が可能

寸法制約が厳しいため、どうしても窮屈になりがちな軽自動車のペダル配置だが、新型ルークスはアクセルペダル〜フットレスト間を31㎜拡大。ペダル角度も見直すことにより、下半身を安定させやすいスタンスを確保した。

広い視界で運転時の安心感をアップ

インパネ上面を低くしたため、クルマ近くの死角が減少。3歳児を模擬した高さ1mのポールを1.5mの距離に置いたテストでは、黄色で表した「顔」部分まで視認できる。駐車場内でクルマの間から飛び出してくる子どもにも気付きやすくなった。

クラス随一の優れた見晴らし

アイポイントの地上高は従来型より61㎜高くなり、1371㎜を確保。ほぼセレナ並みの見晴らしの良さを実現している。遠くの状況が早めに認識できるため、余裕を持ったスムーズな運転が可能になった。

ゼログラビティシートで長時間の着座でも疲れにくい

デイズ同様に、上級セダンであるティアナやスカイラインなどにも採用されている形状のシートを搭載。中折れ形状の背もたれパッドで、上体を広い範囲で支持することで長時間の着座時でも疲労を軽減する。

女性に優しい力要らずの調整機構

チルトステアリングの調整機構にはコラムシャフトを保持するスプリングが組み込まれ、位置調整が容易にされた。また、操作レバーの形状の改善により操作に必要な力も軽減されている。

助手席リクライニングレバーで後席に楽々アクセス

助手席の肩口に設置されたリクライニングレバーは、ロック解除のために背もたれの中に通されたケーブルを屈曲させない工夫で操作荷重の軽減や、操作時に手首が返らないで完結できるストローク量の最適化が図られている。

室内空間を最大限に使ってより広く

特に制約の厳しい軽自動車の全幅を最大限に活用するための工夫として、サイドガラスのギリギリまでドアトリムを彫り込むことで、肘まわりのスペースを確保。クラスNo. 1のエルボールームを実現している。

広い開口幅が子どもの乗せ降ろしに貢献する

後席スライドドアの開口幅も、クラストップの650㎜に拡大。子どもをチャイルドシートに載せ降ろしする際、自然に抱いた姿勢のまま作業ができる。足元も広いため、床に足がつきやすく、パパ&ママの腰に優しい。

操作ミスを抑制するセンサー配置

静電容量センサーを使ってドアを自動開閉するハンズフリースライドドアを用意。センサーをサイドシルに内蔵することで操作高さを低くし、Bピラーの真下に付けることで、前後位置をわかりやすくし、空振りしにくくしている。

後席ロングスライドで子どものケアをしやすく

先代ルークスよりも60㎜拡大され、ライバルを圧倒する320㎜のスライド量を誇る後席を手前に引き寄せれば、助手席リクライニングとの相乗効果で、運転席に座ったまま後席に乗せた子どものケアも可能。新型ルークスならではのユニークポイントだ。

バッテリーはフットレストに活用

新型ルークスの全グレードがマイルドハイブリッド仕様となり、運転席下にリチウムイオン電池を搭載。バッテリーケースの後面には傾斜が付いているため、後席乗員はフットレスト代わりに使用できる。

サンシェードで日差しと視線を遮断

リヤドア内にはロール式のサンシェード(オプション装備)が仕込まれ、日差しの強い時にワンタッチでさっと引き上げれば、眩しさを抑えることができる。外部からの目隠しとして役に立つので、後席空間の広いルークスには有効なアイテムだ。

室内全体の温度を均一に

ルーフに組み込まれたリヤシーリングファンを稼働して室内の空気を攪拌することで、前席と後席の温度差を低減できる。日産の実験では真夏の炎天下に駐車したクルマの車内が、半分の時間で快適になることが確認されている。冬場の暖かい空気にも効果的だ。

便利な二段構造の大型トレー

デイズでは助手席ドア内に設置されていた車検証を入れるスペースは、ルークスでは助手席シート下の大型アンダートレーに。後席側に引き出すことも可能なトレーは、二重構造で上部には靴などを入れることができる。

軽い力で操作できる後席格納

後席は格納方式を改善。従来型では前席スライド位置に制約があったが、新型では前席最後端でも格納できる。また、従来型は展開する際、シート全体を持ち上げる必要があり、腰への負担が大きかったが、新型は片手で操作できるようになった。

一定の力で軽く閉められるバックドア

バックドアダンパーは、全開の手前で反力が反転する位置に配置するのが通例だが、それでは閉める途中で操作力が大きくなる。新型ルークスはダンパー反力がリニアに作用するよう取付位置を調整して、滑らかに閉められるよう改良を図った。

ロードノイズと風騒音を徹底排除

静粛性の高さでは評価の高い新型デイズをベースに、さらに吸遮音材を充実させた新型ルークス。特に側面から回り込んでくるロードノイズや風騒音の対策を徹底し、前後席間の会話明瞭度を高めている。

ピストンの裏から冷却する

ピストン冠面の温度を下げて耐ノック性を高めるため、オイルジェットを採用。さらに冠面の裏にはヒートシンク状のリブを並べ、表面積を拡大して効率良く冷却できるように改良。無過給仕様の圧縮比を12.0まで高めている。

効率的に衝撃を吸収する追加メンバー

前面衝突荷重を分散させるため、エンジンルーム下にはアドオンメンバーを追加。衝突時には下向きに折れるよう弓なり形状にし、パワーユニットが落下して、キャビンを変形させないよう配慮されている。

各部の地道な空力処理でデザイン性と低抵抗を両立

存在感のあるリヤビューを実現するため、リヤに向かっての絞り込みを抑制。空力的に不利になる分は、前後左右のコーナー形状を微調整して対応している。Aピラーは整流面を長く取り、リヤコンビは外に張り出させ、気流の巻き込みを抑える。

空力性能と冷却性能を両立

従来型はラジエターの真ん中をバンパービームが横切っていたのに加え、外周からの空気漏れが多かった。新型は外周のシール性を高め、上側の開口面積も拡大。ラジエターにまんべんなく空気を通し、通気抵抗の削減を図った。

NA、ターボともに力強い走りを実現

従来型と較べると、自然吸気は全域で、ターボ仕様は低/高回転両側でトルクアップしている。特に自然吸気エンジンは、従来型で指摘の多かった発進加速時の非力感は完全に払拭されている。

デュアルインジェクターで燃料を微粒化

1.5ℓエンジンで先鞭を付けたデュアルインジェクターを、660㏄エンジンにも拡大展開。噴射量を分散させて噴霧の微粒化を図ると同時に、燃焼室に近付けて筒内気化成分を増大。吸気冷却効果で耐ノック性を高めている。

エンジン骨格などで静粛対策

シリンダーブロックには平面をつくらず、面剛性を高めて放射音を抑制。吸気管は等長化し、不協和音が発生しないようチューニングを実施。クランクシャフトはウェブ形状の最適化で剛性を高めるなど、騒音低減対策は徹底している。

回転数変動を抑制

先行車に追従するため微妙なアクセル操作をする際、CVTのレシオ変化が大きいと、エンジン回転数の変動が期待値より大きくなり、操作がオーバーシュートしがちになる。新型はそれを抑制し、ドライバビリティの向上を図った。

CVTのノイズを低減

エンジンとトランスミッションの結合剛性が低いと、全体がうねって騒音を発生しやすくなる。そこで締結ボルトの数を4本から7本に増やし、双方をつなぐガセットを上部に追加。結合剛性を1.5倍に高めている。

最終減速比ローギヤ化

デイズより重くなった車重と増大した空気抵抗に対応するため、ファイナルドライブレシオを約12 %ローギヤ化して駆動力を確保。常用域ではデイズと変わらぬ動力性能を発揮する。

低床化による荷室の拡大と軽量化

FWD車用のトーションビーム式リヤサスは、ビーム断面を台形にして高さを抑制。荷室の低床化に貢献している。リヤハブ取付面はビームとのオフセットをなくし、キャンバー剛性を大幅に向上させている。

サス形式を踏襲しつつ性能を向上

フロントサスの形式はストラットを継承しながら、全面的な見直しを実施。ダンパーはサイズを拡大して応答性を向上。衝突安全性のために追加したアドオンメンバーは、サブフレームの支持剛性向上にも役立っている。

先代から98%を新設したシャシー

デイズで投入された新技術に加え、さらにルークス用に各部が最適化されたシャシーは98%が新設計。これらの効果により、操縦安定性はもちろんのこと、静かで滑らかな上質な走りがもたらされている。

駆動方式ごとに最適なリヤサス形状を採用

従来型はFWDも4WDも3リンク式だったため、FWDでもトルクチューブの揺動スペースが制約となって床面が下げられなかった。新型は駆動方式別に形式を専用化。FWD用はトーションビーム式として、低床化を行なっている。

新世代ハブが滑らかな走りをもたらす

リヤハブは標準ベアリングを圧入する第一世代方式から、ハブ本体をボールレースとして使用する第三世代方式に進化。タイヤの接地点剛性が高まるだけでなく、圧入与圧が掛からないため、フリクションも低減できる。

サイドマウント方式でブラケットを小型化

アクセルペダルはブラケット(紫色)の上に重ねるフロントマウント方式から、側面で締結するサイドマウント方式に変更。ブラケットに取り付けるフランジ面が不要になるため、ペダル側もブラケット側も小型化できる。

衝突時の安全性を高める脱落機構

前面衝突時のブレーキペダル後退抑止機構も合理化を実施。本体ブラケットを座屈変形させる方式から、赤色のリベットを破断させる方式に変更している。ペダル剛性を落とさずに、破断荷重を低減できる良いアイデアだ。

レーダーが加わりより安全に

衝突軽減ブレーキのセンサーは、単眼カメラに加えてミリ波レーダーも採用。先行車の下にレーダー波をくぐらせて2台先のクルマの動きを把握し、より早いタイミングで衝突警報を出す“前方衝突予測警報”を新採用している。

12分割の配光でハイビームを持続

プロパイロット付きモデルには、アダプティブLEDヘッドランプも標準装備。片側12個のハイビーム用LED光源を個別制御することで、対向車や先行車に対する幻惑を防ぎながら、路肩の遠方視認性を確保する。

狭いクリアランスのスペースで瞬時に展開

国内向け日産車初の運転席ニーエアバッグは、ハイウェイスターに標準装備。衝突から0.014秒以内に、わずか8㎜の隙間に展開させる必要があるため、内部に仕切りを付けた2段展開構造を採用している。

ぜひとも欲しいSOSコール

 デイズではオプション設定だった事故自動通報システム「SOSコール」は、ハイウェイスターに標準装備、「X」グレードにオプション設定となった。システムはデイズと同様、(株)日本緊急通報サービスが運用する「ヘルプネット」を利用したもので、エアバッグが展開するレベルの事故が発生した際、NTTドコモの回線を通じて専門のオペレーターに接続。呼び掛けに応答しない場合は、オペレーターから警察や消防に出動要請が行なわれる。車両からは位置情報や減速Gの大きさと方向、シートベルト着用の有無などの情報が送られ、重篤度の予測データベースを使用して傷害値を推定。必要に応じてドクターヘリを要請する。これによって救護開始時間が平均約17分短縮され、救命率を高めることができる。



 緊急通報は手動スイッチでも可能。急病時に乗員が通報できるほか、あおり運転を受けた際にも通報可能。位置情報をもとに警察の出動も要請できる。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 日産ルークスのメカニズムを徹底解説!将来をも見据えた全面刷新