Bancorは、AMM(自動マーケットメイカー)型の分散型取引所(DEX)プロトコルである。Bancorは、Uniswapと類似しているが、独自トークンのBNTが全プールのペア通貨となっている点や、スワップ手数料が0.1%とUniswapのスワップの手数料(0.3%)より低いという点が特徴である。2017年にICOで1億5,300万ドル(約160億円)を調達し、2018年3月にローンチされた。

Bancorの独自トークンであるBNTは、供給量が柔軟に変化するユーティリティトークンである。また、vBNTというガバナンストークンは、ガバナンス投票や手数料に使用される。Bancorの流動性提供者(LP=Liquidity Provider)になることでvBNTを稼ぐことができる。

Bancorが2020年に入って開発・提供しているV2では、(1)インパーマネントロス(※1)、(2)流動性提供における非効率性、という、主なAMMが直面する2つの課題の解決を目指している。インパーマネントロス問題に対しては、LPにインパーマネントロスが生じた場合、BNTを新規発行することでLPの損失を負担する。一方、流動性提供における非効率性においては、プロトコルがBNTを新規発行してくれるため、LPは任意のトークン1つだけを提供するだけで済むようにした(UniswapやSushiwapなどの主なAMMでは、流動性提供のために各プールに2種類のアセットを提供することが必要とされている)。LPはBNTを含むペアの両方を提供することも可能である。新規発行されるBNTは、LPが流動性提供を終える際、同時に消滅する。

Dune Analyticsのデータによれば、Bancorの取引高は、徐々に上昇しており、2020年3月から12月にかけて約10倍に成長した。しかし、Bancorの取引高ランキングはDEX内では9位に位置しており、直近の7日間の取引高シェアは1%未満にとどまる。取引高はUniswap V2の50分の1程度に満たない。

Bancorは現在、BNTを使った流動性マイニングを実施している。LPはETHやWBTC、USDTなどのトークンとBNTのペアのプールに対し流動性提供を行えば、BNTを稼ぐことができる。さらに、Bancorはオフチェーン・ラボと協力し、Optimistic Rollup(※2)を用いたレイヤー2ソリューション「Arbitrum」を土台にしたAMMの開発を行っている。DEXサービス同士のレイヤー2競争は激化しており、もしBancorが勝利すれば大きくシェアを奪い返す可能性もある。


※1 インパーマネントロス(IL):
流動性提供者が流動性を提供しているプールのペアにおいて、交換レートの変動に伴いプール内の資産比率が変化することによって生じる一時的損失を意味する。ILは流動性提供者にとっての大きなリスクであり、AMM DEXの最も大きな問題とされている。そのため、特に後発のAMMは様々なアプローチでIL問題の解決策を提案している。

※2 Optimistic Rollup:
最も注目されているレイヤー2技術であり、Vitalikなどのイーサリアムコア開発者も研究開発に参画している。

出所:Coin Market Cap

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情報提供元:FISCO
記事名:「Defiプロジェクト「Bancor」【フィスコ・暗号資産コラム】