■今後の見通し

3. 中期経営計画
タナベ経営<9644>は、「変化から成長へ」をスローガンとした中期経営計画「Tanabe Vision 2020(2018~2020)」を2018年5月に発表した。基本戦略として「C&C戦略」・「コンサルティングプラットフォーム戦略」を掲げ、コンサルティング領域を多角化してコンサルティングメニューを拡大し、全国・全地域において高品質のコンサルティング価値を提供することで、持続的な成長を可能とする収益基盤の構築に取り組んできた。

最終年度となる2021年3月期の当初の業績目標値(売上高9,600百万円、営業利益1,040百万円)に関しては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により期初段階で、売上高9,395百万円、営業利益700百万円に引き下げており、現時点においても変更はない。また、主要KPIであるチームコンサルティング契約社数及び売上高についても期初に修正した数値(契約社数610社、チームコンサルティング売上高で前期比2.6%減の4,200百万円)を維持している。

主要施策の進捗状況については、概ね中期経営計画通りに進捗しているが、コロナ禍において社会様式が大きく変化し、企業のDX化への取り組みが加速しているほか、M&Aニーズも旺盛となってきている状況にある。こうした領域におけるコンサルティングニーズを取り込むべく、同社は(株)リーディング・ソリューション、グローウィン・パートナーズ(株)と相次いでグループ会社化するなど積極的に市場を取り込む姿勢を打ち出している。2022年3月期以降、これらグループ会社とのシナジーが発現すれば、従来よりも成長スピードが加速していくものと弊社では見ている。

(1) M&A戦略とDX戦略の取り組み
新型コロナウイルス感染症拡大によって、経営危機やビジネスモデルの変革が必要となり、潜在的な事業承継・再編ニーズが高まっているほか、業務効率の向上や生産性向上につながるDX化への取り組みが加速している状況にある。

こうしたなか、成長M&Aコンサルティングについては、経営コンサルティングを本業としてきたからこそできるM&A戦略の策定から、デューデリジェンス、M&A後のPMI(経営統合)や成長支援まで一貫したコンサルティングサービスを提供している。今後の事業拡大にあたっては、従来どおり金融機関や会計事務所等との連携強化による案件紹介に加えて、グローウィン・パートナーズ(株)のグループ化によるクロスボーダーを含むM&A領域の更なる拡大を図っていく方針だ。また、買い手側に立った成長M&Aコンサルティングサービスを提供していくことで、事業承継・再編ニーズを取り込み、地域企業・地域経済の活性化に貢献していくことを目指している。

一方、DXコンサルティングでは、2020年3月期に業務提携したRPAツールの開発・提供を行うワークスアイディ(株)との協業によるRPAを活用した業務改善支援サービスを提供していくほか、デジタルマーケティング領域では(株)リーディング・ソリューションとの協業、また、ERP・RPA等の導入・活用による経理・財務・人事部門等のバックオフィス業務のDX化支援ではグローウィン・パートナーズ(株)との協業を推進していくことで、新規顧客の開拓を推進していく戦略となっている。

(2) 主要施策の進捗状況
a) 地域倍増FCC戦略: 新たにDXコンサルティングをメニューに追加し、全国のBtoB企業にデジタルマーケティング支援サービスの提供を(株)リーディング・ソリューションと共同で開始した。

b) ドメイン・ファンクションコンサルティング戦略
戦略研究会のテーマは2020年3月期で29テーマ(2018年3月期比で4テーマ増加)となり、各ドメイン・ファンクションを専門とする戦略リーダーも2020年3月期に28名(同12名増加)と順調に増加している。

c) HRコンサルティング: FCCアカデミー(企業内大学)の開校数が2020年11月末時点で108社(前期末比11社増加)と中期目標を達成し、今後は200社がターゲットとなる。

d) マーケティングコンサルティング戦略: 経営資源を大阪本社、東京本社に集中(中部本部を大阪本部へ統合)して、組織機能の強化を図るとともに、住宅業界や子育てマーケットなどの専門性を強化した。

e) コーポレート戦略: 新しい働き方や生産性向上の実現に向けてWeb会議システムや新ERPパッケージなどを導入。また、コーポレートコミュニケーション機能を強化して、全社ブランディングや商品・サービスのPR推進に取り組んでいる。

(3) コンサルタント人員の推移
コンサルタント人員については、(株)リーディング・ソリューションのデジタルコンサルタント人財が加わったことで、2021年3月期末は前期末比で38名増の283名に拡大する見通しだ。ただ、同数値にはグローウィン・パートナーズ(株)のコンサルタントは含んでいないため、実際にはあと40名近く増える可能性がある。コンサルタントは競争力の源泉となるため、今後も各業界に精通するプロフェッショナル人材を中心に採用を強化していく方針で、IターンやUターンを希望する人材の採用などにも取り組んでいく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元:FISCO
記事名:「タナベ経営 Research Memo(9):M&A、DX領域のコンサルティングにおいてグループシナジーを高めていく