■今後の見通し

2. 2019年3月期下半期の主な取組み
国内不動産市場において2018年は賃貸アパートやシェアハウス等に関連した金融機関の不正融資問題が明るみになったこともあり、「個人による貸家業」に対する金融機関からの融資が厳しくなってきている。「個人による貸家業」は主に賃貸アパート物件のため、エー・ディー・ワークス<3250>が販売する中古マンションの投資家への影響は少ないものの、それでも今後の購買力に影響が出る可能性は否定できない。また、一方でREITの需要は相変わらず堅調なほか、不動産業を営む法人向けの金融機関からの融資についても伸びが続いている状況にある。

こうした市場環境の変化に対応すべく、同社では金融機関からの融資を必要としない超富裕層向けを対象に米国の収益不動産の販売を拡大していくほか、国内では不動産特定共同事業法を活用した不動産小口化商品を幅広い投資家層に販売していく考えだ。また、従来から連結売上高の10~30%を占めていた商用不動産(オフィスビル、商業ビル等)の法人向け販売についても強化していく方針としている。これら分野については同社で一定のノウハウを持っており、下期に推進体制を整備し2020年3月期以降の事業拡大につなげていく考えだ。

(1) 海外事業
米国ロサンゼルスを拠点として展開している海外事業については、2014年3月期より本格的に事業を開始して以降、順調に事業規模を拡大しており、2018年3月期には売上高で4,235百万円、売上構成比率で19.0%の水準となり主力事業の1つとなっている。主要顧客は一般的な投資ローンを必要としない超富裕層のため、融資環境の変化は影響しない。ニーズも旺盛で販売募集を開始すれば申し込み倍率が1倍を超えるため、抽選で決める状況となっている。このため、同社では仕入を強化していく考えだが、物件取得のための資金確保と現地オペレーション機能の強化が課題となっている。資金については自己資金のほか金融機関からの借入または新株予約権行使に伴う株式市場からの調達で賄っていく方針だ。また、現地オペレーションについても現在の10数名から増員していくことになる。また、他の人気エリアへの進出も検討しているようだ。これらの取組みによって、海外事業は2020年3月期以降も拡大していくものと予想される。

(2) 不動産小口化商品
同社は不動産小口化商品の第1弾として、京都の中心地にある商業ビルプロジェクト「ARISTO京都」を開始した。募集総額は12.2億円で1口1百万円単位、最低5口(5百万円)から購入可能となっている。分配金利回り(年間の現金分配額÷(募集総額+必要経費))は3.91%を想定している。

顧客の獲得ルートは、税理士や地方銀行からの紹介や「Royaltorch(ロイヤルトーチ)」の会員がメインである。申込済みの顧客のほとんどは投資ローンの利用を検討していないため、融資環境の変化による影響はほとんどないものと思われる。中期目標として5年間の累計で100億円を販売したい考えで、半年に1棟、約10億円の組成を行っていくペースで考えている。既に候補物件は複数抱えており、目標の達成は十分可能と見られる。なお、利益率に関して当初は広告費や販売費用などがかさむ可能性があるが、中期的に見れば収益不動産販売事業と遜色ない水準の利益率が期待できる。

(3) 商用不動産
商用不動産は機関投資家等の法人が販売対象となる場合が多く、従来から連結売上高の10〜30%の範囲で販売してきたが、今後はさらに注力していく予定にしている。

(4) エリア展開
国内のエリア展開としては、前期から数字となって現れてきている大阪を中心とした京阪神エリアやその他の地方中核都市(名古屋や福岡など)での展開を視野に入れている。当第2四半期累計では京阪神エリアで2棟、名古屋市内で2棟を仕入れている。京阪神含めて地方エリアに関しては競合が少ないことから、今後も着実に実績を積み重ねていく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元:FISCO
記事名:「ADワークス Research Memo(6):不動産市場の環境変化に対応しつつ、商品ポートフォリオの多様化を進める