■Jトラスト<8508>の事業概要

3. 東南アジア金融事業
東南アジア金融事業では、東南アジアで最大の人口を持つインドネシアで銀行業及び債権回収事業などを展開する。ライツ・オファリングで得た資金により、銀行業の現PT Bank JTrust Indonesia, Tbk.(以下、Jトラスト銀行インドネシア)を傘下に収めた。2019年3月期は同行の業績悪化に苦しんでいるが、将来的には債権回収業のPT JTRUST INVESTMENTS Indonesia(以下、Jトラストインベストメンツインドネシア)、マルチファイナンス会社のJTOとともに、同社グループでは東南アジア金融事業が第3の収益の柱に成長し、グループの業績をけん引することを期待している。

長期間にわたって預金保険機構の管理下にあったインドネシアの商業銀行(現Jトラスト銀行インドネシア)については、同社グループでは最優先課題の1つとして、再生に取り組んでいる。これまでに、同行の増資を行うとともに、不良債権の回収に特化した新会社Jトラストインベストメンツインドネシアを設立して、同行から不良債権を切り離して譲渡することにより、財務体質の改善を図るなどして、銀行再生を加速してきた。また、Jトラスト銀行インドネシアでは2016年9月末に約1,300名いた正社員を削減し、2018年3月期には800名体制を構築している。同時に、ジャカルタなどの重複店舗を削減し、新たに開店した店舗も含め45店舗にした。こうした徹底したリストラの効果と、営業資産の積み上げにより、インドネシア商業銀行中の順位は買収時の80位程度から、2017年12月末現在で54位にまで上昇している。戦略的にポートフォリオを入れ替えた結果、貸出残高は2015年6月の82,922億ルピアから2018年9月には120,027億ルピア(約940億円)に増大し、自社与信債権を総貸出残高の半分近くまで伸ばした。

しかしながら、2019年3月期に入り債権内容の見直しに伴いJトラスト銀行インドネシアの不良債権比率はグロスで前期末の3.4%から5.3%に上昇している。また、一部債権の不良化やIFRS9導入に伴う信用ランク変更等に伴い平均貸出金利も10.93%となっている。同社グループでは同行の立て直しが喫緊の課題と認識しており、既に不良債権の回収及び抑制、健全な資産の積み上げ、利ザヤの改善等に向けて対策を講じており、収益力強化に取り組んでいる。

最近の動きとしては、2018年1月には四国銀行<8387>との業務提携を発表した。今後、同行及び同行の顧客に向けて、インドネシアの経済・投資環境、税制、法規制などに関する情報の提供やビジネスマッチング支援や、Jトラスト銀行インドネシアの各種金融サービスの提供などを通して、積極的に日本企業のインドネシアへの進出をサポートする計画である。さらに、2018年10月には、マルチファイナンス会社であるJTOの株式60%を取得した。JTOはオートローン業界の老舗として高い知名度があり、2017年12月末の資産規模は、業界44位の17,270億ルピア(約130億円)で、インドネシア全土の支店網や取引金融機関との豊富なネットワークを有している。規模的には、Jトラストグループへの大きな利益貢献は期待できないが、既に提携先等のパートナーも増えており、引き続き中古車ローンに加え農機ローンも拡充することで、当面はアセットを成長させる方針である。JTOのグループ入りに伴い、韓国に続きインドネシアでも、銀行、債権回収会社、ファイナンスカンパニーの三位一体の事業セグメントが構築され、幅広いエリアにおける多様なニーズに応えられる体制が整うことになる。加えて、カンボジアの商業銀行で2017年12月末の資産規模は、業界7位(約1,120億円)のANZRの株式55%を2019年5月までに取得予定である。ANZRは優良銀行であり、同社グループに対する早期の利益貢献が期待される。こうした矢継ぎ早の買収から、東南アジア金融事業を今後のグループ成長ドライバーと位置付ける、同社の戦略が鮮明にうかがわれる。

4. 投資事業
投資事業では、シンガポールを拠点に、事業のシナジー性や商品力などを総合的に判断し、投資先を選定する。特に、金融事業あるいは金融事業とシナジー効果が見込める事業に投資している。ただ、2018年3月期は、GLへの投資関連損失を計上したことで業績の悪化を招き、海外企業への投資の難しさを示す結果となった。

5. 非金融事業
同社グループでは、非金融事業として総合エンターテインメント事業、不動産事業、システム事業などを展開している。ライブ・エンタメ事業を中心に展開する子会社のKeyHolder<4712>(2017年10月1日にアドアーズ(株)より商号変更)では、2018年3月に子会社のアドアーズを売却した。さらに2018年10月には同社の連結子会社(孫会社)であるハイライツ・エンタテインメント(株)を売却し、グループ経営資源の選択と集中を進めた。ただ、同社の本業である金融事業とのシナジーを考えると、非金融事業は今後もさらに見直しの余地が大きい事業分野と言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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情報提供元:FISCO
記事名:「Jトラスト Research Memo(4):金融事業がグループ全体の中核事業(2)