9日の欧米外為市場では、ドル・円は戻りの鈍い展開を予想する。前日大幅安となった中国株の持ち直しを受け、円買いはやや後退する見通し。ただ、米トランプ政権が近くまとめる為替報告書で中国を操作国に認定するとの思惑が、円買いを誘発しそうだ。

前日は、イタリアの財政赤字と公的債務残高の削減をめぐる同国と欧州連合(EU)の対立が嫌気され、イタリア国債の利回りの急上昇からユーロがドルや円に対して売られた。ブレグジットの不透明感によるポンドの下落も加わり、ドル選好地合いが鮮明に。ドル・円に関してはクロス円の下落に引っ張られ、112円台後半に下落する場面もあった。本日のアジア市場の取引では113円を挟んだ値動きが続くが、前日大きく下げた上海総合指数の反発もみられることで市場センチメントはやや改善、リスク回避の円買いは後退しつつある。

ただ、ドル・円の戻りのペースは緩慢になるだろう。米10年債利回りが節目として意識される3.25%台を明確に超えるレベルに切り上げた場合には株式市場で嫌気され、株安・円買いに振れそうだ。一方、米国は中国の人民元安を問題視し、11日から開催される20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)で為替問題をテーマにする可能性が指摘される。また、来週にも公表される財務省の半期に1度の為替報告書で中国を「操作国」として認定するとの思惑が広がれば、米中対立が一層深刻化し、円買いを招きそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・21:00 カプラン米ダラス連銀総裁講演(NY経済クラブ)
・02:00 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁講演(米経済に関する教育関連)

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情報提供元:FISCO
記事名:「欧米為替見通し:ドル・円は戻りの鈍い展開か、人民元安めぐる米中対立に警戒