週末に実施された米中首脳会談で、貿易対立休戦が決定されたため、少なくとも貿易摩擦が悪化することはないと安心感が広がった。来年1月1日から90日間の休戦中に、タカ派で知られるライトハイザーアメリカ通商代表部(USTR)代表が交渉で重要な役割を担うようだ。ムニューシン米財務長官はCNBCとのインタビューで、米中貿易協議の進展はさらなる成長につながると、楽観的な見方を示した。

現状では、トランプ政権が実施した財政刺激策や税制改革による影響が薄れ、2019年、2020年の米国経済は成長が減速するとの見通しが強まっている。一部では米国経済が景気後退に陥るとの懸念も浮上。米連邦公開市場委員会(FOMC)も政策金利が、「中立に一段と近づいた」との見解で、FOMCは12月に本年4度目となる利上げに踏み切ったのち、2019年は中旬まで利上げが休止されるとの見解が強まりつつある。

しかし、貿易戦争や関税の脅威にもかかわらず米国の製造業は予想外に好調を維持していることが明らかになった。米供給管理協会(ISM)が発表した11月ISM製造業景況指数は59.3と、低下予想に反して、10月57.7から上昇。重要項目である新規受注や製造業の雇用が引き続き強い証拠が見られた。新規受注は62.1と、前月の57.4から大幅に増加し、8月来で最高となった。生産は60.6と、前月の59.9から上昇した。雇用も58.4と、前月の56.8から上昇。今週末に米労働省が発表する11月雇用統計で引き続き順調な雇用増加が示される可能性が示唆された。原油価格の下落の影響で、製造業における投入原価の圧力を判断する価格指数は大幅に低下。関税における価格上昇圧力を相殺した。アトランタ連銀は10−12月期の国内総生産(GDP)見通しを従来の2.6%から2.8%へ引き上げた。

クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長も言及したとおり、万が一、インフレが目標である2%を突破した場合には、「政策を修正する」可能性も示唆しており、今後の金融政策は指標次第で、思った以上に好景気が持続した場合、FOMCが利上げのペースを再び加速させる可能性も十分あると見る。

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情報提供元:FISCO
記事名:「NYの視点:貿易摩擦にかかわらず米製造業は順調、米中貿易協定成立で米経済の一段の成長も