日経平均は6日続伸。268.37円高の25108.21円(出来高概算10億8725万株)で前場の取引を終えている。

 前日9日の米国株式相場はまちまち。ダウ平均は834.57ドル高の29157.97ドル、ナスダックは181.45ポイント安の11713.78ポイントで取引を終了した。米大統領選の結果に目処がつき不透明感が一段と後退したほか、新型コロナワクチン開発で大きな前進が見られ、景気見通しが大きく改善し、ハイテク株から景気循環株へのポートフォリオの移行が目立ちダウ平均株価は日中取引で過去最高値を更新した。一方、ナスダック総合指数は下落して取引を終えた。ダウ平均の大幅高を受けた今日の東京株式市場は買いが先行した。東京市場でもワクチン開発の進展が好感された。また、20年4-9月期決算発表で業績予想を上方修正する企業が多いことや、外為市場で昨日午後に比べ円安・ドル高に振れていることなども株価下支え要因となった。

 個別では、ワクチン開発進展を受けワクチン向け保冷庫などを手掛けるツインバード<6897>がストップ高買い気配となり、20年12月期業績予想を上方修正したビジョン<
9416>がストップ高まで買われ、同じく20年12月期業績予想を上方修正したヤマハ発<7272>が20%を超す大幅高となり、21年3月期業績予想を上方修正したセントケアHD<2374>、島津製<7701>、高砂香料<4914>、ブラザー工業<6448>、三井金<5706>、日本特殊陶業<5334>が上げた。また、ワクチン開発進展を受け経済活動の正常化期待からH.I.S.<9603>、OLC<4661>の旅行・レジャー関連株や、JAL<9201>、ANA<9202>の空運株が物色され、原油価格上昇を受けた国際帝石<1605>、石油資源<1662>の資源株、米国長期金利の急騰を受けた三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>、みずほ<8411>も堅調だった。

 一方、20年12月期第3四半期(20年1-9月)連結営業利益が前年同期比45.3%減となったケネディクス<4321>がストップ安となり、21年3月期上半期(中間期)連結営業利益が前年同期比20.9%減となったゲオHD<2681>、20年12月期業績予想を上方修正したが材料出尽くし感が先行したエアーテック<6291>、メック<4971>、4-9月期連結純利益が過去最高となったが利益確定売りが先行したソフトバンクG<9984>が下げた。

 セクターでは、空運業、鉱業、保険業、陸運業、鉄鋼などが値上がり率上位。一方、その他製品、情報・通信業が値下がりしている。東証1部の値上がり銘柄は全体の63%、対して値下がり銘柄は33%となっている。

 ワクチン開発進展を受け、前場の東京株式市場では、いわゆるバリュー株(出遅れ株)や景気敏感株が買われ、グロース株(成長株)や景気ディフェンシブ株が売られる展開となった。この流れは続くのだろうか。当欄で以前何度か取り上げた「株価=景気/金利」という式を使って考えてみよう。分子の景気が大きくなる局面ではバリュー株有利、分母の金利が小さくなる局面ではグロース株有利の展開となる。

 まず、分子の景気。ワクチン開発の進展で景気先行きに強気の見方が増えているが、ワクチンが広く普及するには今後、かなりの時間がかかる。加えて、コロナ禍に関し、バイデン氏は感染拡大防止に軸足を置くと見られており、今後、コロナ対策強化により景気の先行き不透明感が強まる場面もありそうだ。景気回復期待は今までに増して高まるだろうが、まだまだ紆余曲折ありそうだ。ややはしゃぎ過ぎの感は否めない。

 一方、分母の金利。昨日の米国市場では景気の先行きに強気な見方が広がり、米10年債利回りは一時0.97%と8カ月ぶりの高水準に急騰した。しかし、足元はと言えば欧米で新型コロナ感染は拡大しており、経済活動は鈍化するとの見方がある。景気回復の勢いが鈍れば金利上昇も緩やかなものとなるだろう。金利もここから急速に上昇することは想定しづらい。

 このように、昨日のワクチン開発進展のニュースで、市場のシナリオが一気に変わるという見方はやや無理があるように感じる。ここから時間をかけて少しずつシナリオ転換するというのが穏当な見方ではないだろうか。

 さて、後場の東京市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。ワクチン開発進展を受け、相場の先高観は強くなったものの、日経平均は昨日までの5営業日で1800円を超す上げとなっており、高値警戒感も指摘されている。昨日の米国市場で取引終了にかけてダウ平均が伸び悩んだこともあり、今晩の米国市場の動向を確認したいとのムードも広がりそうだ。
(小山 眞一)
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情報提供元:FISCO
記事名:「日経平均は6日続伸、ワクチン開発進展を好感