医療用大麻に関する世界医師会(WMA)声明は、2017年10月シカゴ、第68回総会で採択されたものです。日本臨床カンナビノイド学会(新垣実理事長)は、本声明の和訳を20年8月27日に本学会サイトにて公表しました。

本声明については、17年時点での評価であり、カナダの18年11月の成人用大麻の合法化のベースとなるエビデンス、19年1月のWHO/ECDD(世界保健機関/依存性薬物専門家委員会)の大麻及び大麻関連物質の科学的評価勧告、ニュージーランドの20年10月の成人用大麻に関する国民投票のベースとなるエビデンスなどの声明後のエビデンスについては考慮されていません。

また、この世界医師会声明への支持があるため、ニュージーランドの20年10月の成人用大麻に関する国民投票に対するニュージーランド医師会は、合法化反対の立場にあると推察されます。但し、世界各国における医療用大麻および成人用大麻の合法化に対して、世界医師会が共通認識を示したことは大いに意義があります。


前文(一部抜粋)

1.大麻草とは、世界各地に自生し、「マリファナ」「ダガ」 「ウィード」 「ポット」 「ハシッシュ」「ヘンプ」など多くの別名で知られている植物、カンナビス・サティバ (Cannabis sativa) の精神活性剤を指す総称です。

2.医療用大麻とは、専門家の監督の下で疾患の治療または症状の緩和を目的として、天然または合成の大麻草及びその成分を使用することをいう。しかしながら、合意された定義はない。

3.嗜好用大麻とは、医療上の必要性に関係なく、感情、知覚、感情を変化させる方法で精神状態を変えるために大麻草を使用することをいう。

4.この世界医師会(WMA)の声明は、医療用大麻の合法化についての見解を示し、嗜好用大麻に関連する有害な影響を強調することを目的としています。

推奨事項(一部抜粋)

10.大麻研究

10.1  大麻草の健康への影響と治療効果に関する質の低いエビデンスを考慮すると、政府が医療目的の医療用大麻を合法化するかどうかを決定する前に、大規模なサンプルを含むより厳密な研究が必要です。比較対照者は、既存の標準治療を含めなければなりません。そのような研究の拡大を支援すべきです。研究では、大麻使用による公衆衛生、社会、経済への影響も調べる必要があります。

10.2  政府は、適切に計画された科学的調査研究が大麻草の健康への影響及び治療上の利益に関するエビデンス基盤を拡大することを可能にするために、研究用大麻の入手及び所持を規制する法律の見直しを検討することができます。

12.大麻草に関する政策と法律を検討する際には、政府、医師会、政策立案者、その他の保健関係者は、利用可能なエビデンスに基づいて、健康への影響と治療効果を強調して検討するとともに、規制上の能力、費用、社会的価値、国の社会的状況、公衆衛生と安全性が広範な人口に及ぼす影響など、様々な状況的要因を認識すべきです。

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000221478&id=bodyimage1


前編
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=105754

後編
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=105756

本学会は、大麻草およびカンナビノイドに関する専門学会ですが、国際的な薬物政策の影響が大きいテーマであるため、今後もこのような世界情勢についての有益な資料の和訳および紹介に努めていきます。


世界医師会(WMA)とは?
世界医師会(WMA)は、医師を代表する国際機関です。1947年9月17日に設立され、27か国の医師がパリのWMAの第1回総会で集まりました。この組織は、医師の独立性を確保し、医師による倫理的行動とケアの可能な限り最高の基準に常に取り組むために設立されました。WMAは、可能な限り最高の医療倫理基準を推進する組織として、宣言、決議、声明を通じて医師に倫理的ガイダンスを提供しています。資金はそのメンバーの毎年の寄付によって賄われており、現在では114の各国の医師会に増えています。
https://www.wma.net/


日本臨床カンナビノイド学会

2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2019年7月段階で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員12名、 賛助個人会員23名、合計102名を有する。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/

日本の大麻取締法 Cannabis Control Act

我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。

つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2016年の時点で、全国作付面積7.9ha、大麻栽培者34名、大麻研究者400名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。






配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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情報提供元:Dream News
記事名:「医療用大麻に関する世界医師会(WMA)声明の和訳を公表、世界各国の医師会へさらなる大麻研究を推奨