with newsによると、「女は大学に行くな、」という文言から始まる、JR西日本の普通電車と阪急電車全線のドア横に出稿された広告が話題になっている……らしい。

 

クライアントは、兵庫県にある名門女子大『神戸女学院大学』。大炎上も必至な、この巨大な級数による過激なキャッチコピーの下には、以下のような内容の“逆説文”が記されており、ネット上では炎上どころか「ビックリしましたが、最後まで読んでほっとしました」「ええ広告やなあと思って見てました」「なんかなぁ…」といった賞賛のコメントが多く寄せられ、リツイートは4千、「いいね」は7千を超えてるという。

 

女は大学に行くな、

 

という時代があった。

専業主婦が当然だったり。寿退社が前提だったり。

時代は変わる、というけれど、いちばん変わったのは、女性を決めつけてきた重力かもしれない。

いま、女性の目の前には、いくつもの選択肢が広がっている。

そのぶん、あたらしい迷いや葛藤に直面する時代でもある。

「正解がない」。その不確かさを、不安ではなく、自由として謳歌するために。

私たちは、学ぶことができる。

この、決してあたりまえではない幸福を、どうか忘れずに。たいせつに。

私はまだ、私を知らない。

 

最初に今もっとも言ってはいけない“暴言”で受け手側の頬にビンタを食らわせ、その後の“抗弁”で納得・同感を得る手法は、もはやありがちとはいえ、広告効果の面では絶大なる威力が期待できる劇薬級の戦略であることも事実だったりする。ただ、当然の事ながらリスクもそこはかとなく大きい。“抗弁”の部分が穴だらけのしょぼい出来だったら最後、それこそ近年ではネット住民たちの格好の餌食ともなりかねないからだ。

 

そういう意味で、今回の「冒頭の暴言を否定するメッセージ」は、文章構成からロジックまで、すべてが計算され尽くした素晴らしい“作品”なのではないか……と、私はただひたすら感心する。

 

「いちばん」「いま」「あたらしい」「あたりまえ」……などの単語をあえてひらく「漢字と平仮名の使い分けのセンス」や、“詩”としてのリズム感も完ペキだが、まずは「女は大学に行くな、」の「、」=読点に注目してほしい。

 

「まだなにか続きがあるに違いない」と、受け手側の目線を“下”へと流す絶妙なテクニック──仮にこれが「読点なし」、もしくは「。」=句点や「!」だったらどうだろう? 少なからずの人たちはこのビンタだけで「はあ?」と思考停止に陥って、「けしからん!」と勘違いしたまま、ネット上に罵詈雑言を書き込み、“後の名文”はまさに炎上のさなかに埋もれてしまっていた可能性もなくはない。かといって「?」、「女は大学に行くな?」ではビンタの威力が弱すぎる。つまり、ここは「、」で〆るしか選択肢がなかったのである。

 

あと、「女は大学に行くな」という、時代錯誤でこそあれ、一方では根強く残存する“一つの考え方”を、あえて「ナンセンス!」の一言で全否定せず、「正解はない」の5文字で包みこむ用心深さ……そして、そんな現代社会の曖昧さを「自由」「あたりまえではない幸福」と捉えるポジティブシンキングは、一大学が標榜する「教育方針」として申し分ないのではなかろうか。もし、私に娘がいるなら……冗談抜きで一度、神戸女学院大学を受験させてみたい。偏差値はむっちゃ高いそうですけどね……?

情報提供元:citrus
記事名:「神戸女学院大学「女は大学に行くな、」という完ペキすぎる広告