デジタル文筆家・弓月ひろみが「近頃の恋愛とテクノロジーの関係」を徹底リサーチ! スマートフォン、アプリ、ガジェット、クラウドなどあらゆるツールを使い、合理的かつスマートに、そして幸せに時間を共有する新時代カップルの「恋愛ハック」を、コラム形式でお届けします。

 

 

■あの人は今、どこでなにしてるの…

 

突然ですが、10代の頃の恋愛を思い出してください。

 

「あの人は今、何してるんだろう…? どこにいるんだろう…? あの人の居場所をいつも確認できたら……」

 

物理的に不可能だけど、こう考えていた人は少なくないはず。今や、誰もがGPS情報を持つ時代。スマートフォンで位置情報を共有すれば、相手の居場所を好きな時に把握できるのです。今回のテーマは「GPSでお互いの現在地を共有するカップル」。3組のカップルに話を聞きながら、彼らの生態をのぞいてみましょう。

 

 

■「居場所を見てもらいたい、安心してほしい」

 

大阪府に住むCさん(36)は、彼と付き合って2年目。スマートフォンを使い、お互いの居場所をリアルタイムで確認しています。

 

「共有しはじめた理由は、私がフリーランス業で色々なところへ行くから。どこにいるか知らせれば、彼に安心してもらえるでしょう?」

 

一方、彼は会社と家を往復する毎日。「連絡がつかない」などトラブルが予測される時以外、CさんはGPSを見ないといいます。

 

「相手の居場所を知りたいというより、私の居場所を見てもらいたい、安心してほしいという気持ちが強いんです。最初から情報を公開していれば連絡ミスも起きず、面倒なことにもなりにくいので」

 

「相手の居場所を知りたいなんて不自然じゃないか」という意見もあるのでは、と聞くと、”それは、相手を理解したい気持ちが足りてないからだと思う”とバッサリ。

 

「生活や仕事のスタイルを互いに理解すること。これが、余計な誤解を生まない秘訣だと思います。私は相手の立場や生活も理解したいし、(自分もそう)してほしい。だから情報をオープンにするんです。GPSを見て、疑問に感じたら、“どうしてそこにいたの?”って彼に聞かれたいですね」

 

Cさんは、SkypeやLINEの動画通話も頻繁にするそう。インタビューしながら気づいたのは、Cさんと彼の間にある大前提。二人の間には”お互い裏切らない、ずっと一緒にいる”という強い気持ちがあるようです。

 

「裏切らないのは当たり前! だって、裏切る予定で付き合うのは辛くないですか?」

 

Cさんにとって、GPS情報の共有は束縛ではなく、信頼関係の象徴。そんな彼女が今、スマートフォンに求めている機能があるといいます。

 

「(相手のいる)高度がわかるGPSを搭載してほしいんです! 地図だと、ビルの何階にいるのかまでは伝えられません」

 

 

■「飼い犬の散歩を見学しているような気分」

 

次のケースは、横浜市にお住まいのSさん(38)。付き合って4年目の彼に、“自分のGPS情報だけ”を渡しています。使うツールはiPhoneの「友だちを探す」機能で、自分から提案したそう。理由は“甘えが半分、安全面が半分”だといいます。

 

「彼は束縛するタイプじゃないんです。付き合いはじめは、彼女がどこで何してようと興味ない……とまで言っていました。でも私は、常に自分を見ていてほしい。だから、GPSを見てもらうことにしたんです(笑)」

 

Sさんのお願いの甲斐あり、今じゃ彼は、SさんのGPS情報を見て楽しんでいるそう。

 

「仕事柄、出張が多いのですが、『駅に着いたんだね』『ホテルに帰るところなんだね』とよく連絡をくれます。見ていてくれてありがとう! と私は喜んでいますが、彼にとっては飼い犬の散歩を見学しているような気分なのかもしれません」

 

Sさんは、スケジュールもGoogleカレンダーで彼と共有しており、精神的にも生活的にもお金のことも、隠し事は一切ない、といいます。

 

「管理されたい、知ってほしい、かまってほしい、という気持ちをテクノロジーの力で訴えているイメージでしょうか。私にとっては、自分より少し上の目線にいつも彼がいてくれる感じ。そう思うと安心して仕事と向き合えるし、辛いことも乗り越えられるんです」

 

もう半分の要素、安全面では「もしもの時」を常に想定しているとのこと。

 

「普段はLINEで連絡を取り合いますが、事件や事故に巻き込まれたら、自力で連絡できないかもしれない。そんな時、GPS情報がわかれば、彼もなんらかの行動に出られますよね。私は、彼に私を失わせたくないし、『何も出来なかった』と思わせたくないんです」

 

 

■子育て夫婦ならではの「悩み」を解決

 

最後は既婚カップルのケースを実名でご紹介しましょう。夫婦漫画ユニット「うめ」のお二人です。「うめ」は原作を担当する小沢高広(おざわ・たかひろ)さんと、作画を担当する妹尾朝子(せお・あさこ)さんのユニットで、『東京トイボックス』『STEVES(スティーブズ)』など数々のヒット作を世に送り出しています。今回お話を伺ったのは小沢さん。お互い、iPhoneの「友だちを探す」機能でGPS情報を共有しているといいます。

 

「相手の位置をチェックして、『そこにいるならコンビニで牛乳買ってきて』と連絡するのが基本ですね」

 

お二人は現在子育ての真っ最中。共働き夫婦の奮闘を描いたコミックエッセイ『イクメンと呼ばないで ニブンノイクジ』(マガジンハウス)を刊行したばかりです。

 

「お互い子どもを連れてバラバラに移動している時の合流に(GPSは)便利なんですよ。いちいちメッセする必要がないですからね」

 

確かに、子ども連れだと両手が塞がったり、メッセージを送る暇もなかったり、というのはよく聞く話です。「もし、相手が予定と違うところにいるのが見えたらどうしますか?」との質問に、小沢さんはこう答えてくれました。

 

「今までの経験だと、GPSの誤差の範疇でしかズレがないので……どうするんだろう。帰り道の経由程度なら気にならないでしょうが、まったく別方向だと……携帯をなくした可能性も出てきますし、どうしたの? と聞くかもしれません。とはいえ、いまさら相手の行動を疑うのはかなり優先順位が低いです。事故の可能性を考えますね」

 

 

■猜疑心より利便性が勝る世界

 

GPSの共有は「まるで監視のようだ」という否定的な反応もあり、束縛のイメージも強い。そのため、インタビューはネガティブな話に終始するのでは……と思いましたが、3組のカップルを見る限り「束縛」とはほど遠いよう。自分の情報をオープンにする、相手を守れる、という安全を意識した使い方が主流のようです。それでも、二人の間に「裏切らない・疑わない」という強い信頼関係があってこそ成り立つものなのかもしれません。

 

実は、筆者がFacebookから本連載の予告をしたところ「ウチも(GPSを)共有しています」と教えてくれた方が4組いらっしゃいました。それぞれ話を聞いてみると、「帰ってくる時間がわかって便利」「なにかあったときのために」と、やはり上の3組と同じ使い方をしていました。それを受けて、小沢さんがくださったコメントが的確でした。

 

「よかった、猜疑心より利便性が勝る世界で……」

情報提供元:citrus
記事名:「【弓月ひろみの恋愛ハック】束縛、監視、それとも…GPSを共有するカップルたちのホンネ