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揚げ物をするときに大量に使う油。「まだキレイだし捨てるのはもったいないな」と思うものの、気になるのが油の酸化です。時間が経った油は酸化して身体に良くないと聞くけど、「油が酸化する」って具体的にどんな現象なのでしょうか?また、どうして身体に良くないの?という疑問も浮かんできます。そこで、今回は油の酸化について管理栄養士の筆者が解説します!

「油が酸化する」ってどういうこと?

「油の酸化」とは、空気中の酸素と油が結合して起こす反応のこと。油は酸化が進むと分解が起こり、様々な物質が発生します。これらの物質が、油の色が悪くなったり嫌なニオイがしたりという、いわゆる「油の劣化」の原因となります。

さらに分解された物質同士が結合すると、分子量の大きな重合物と呼ばれる化合物になり、これが油の粘りの原因になります。

油の酸化は何が原因?

油が酸化する要因には、空気に触れたり、光や熱にあたったりすることなどがあげられます。つまり揚げ物に使った油だけでなく、保管の方法が適切でないとだんだんと酸化が進むというわけです。

油が酸化すると何が良くないの?

油が酸化すると劣化したり粘りが出たりするとお伝えしましたが、こうなることで具体的にどんな不都合が出てくるのでしょうか?

料理の風味を損なう

天ぷらやフライなどの揚げ物料理は、カラリと軽やかに揚がっていてこそおいしいもの。
しかし酸化した油で調理をすると、こってりと油っこくなりやすく、カラッと揚げるのが難しくなります。また、油の嫌なニオイがついてしまったりと、料理の仕上がりに影響します。

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食中毒を引き起こす原因に

揚げ物を食べた後、お腹が痛くなったり、胸焼けがしたりといった経験がある方もいるのでは?

これは酸化した油が原因の場合がしばしばあります。ひどいときは食中毒症状を起こすことも。なお、油の酸化は揚げる油だけでなく、調理済みの揚げ物でも起こります。そのため、油で揚げた即席麺、菓子類、惣菜などの商品は、流通する際に酸化の程度について法的な基準があるほどです。

家庭でも、揚げ油だけでなく、残った揚げ物は早めに食べるなどの注意が必要です。

多量に摂取した場合は、健康を損ねる可能性も

酸化した油を多少摂取しても、体内には毒素の分解機能があるため、すぐに体に影響がある訳ではありません。しかし多量に摂取すれば、内臓への負担や健康を損ねるさまざまな病気の原因となる可能性もあります。

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酸化した油の見分け方

料理の味を損なうばかりか、身体に悪い影響が出うる、酸化した油。では、家庭にある油が酸化しているかどうかはどのように見分ければいいのでしょうか?

色が濃くなる

最初は透き通った色の油も、酸化が進むと濃くなってきます。油の色が黒っぽく、濃くなってきた油は、揚げた食材が黒くなってしまいやすく、仕上がりにも影響します。鍋の底が見えない程に黒くなった油は交換した方がよいでしょう。

嫌なニオイがしてくる

ごま油やオリーブオイルなどを除く多くの植物性の油は、新鮮なときは無味・無臭ですが、揚げ物や炒め物で使用することで風味が生まれます。

多少の油の風味はおいしさにつながりますが、油臭いと感じるほどのニオイは料理の仕上がりにも影響を与えます。嫌なニオイ(=変敗臭)は酸化が進んでいるととらえ、交換の目安としましょう。

泡が出る

揚げ物をしたときに泡が立ち、消えない場合は酸化が進んでいます。

熱した油に食材を入れると水分が出てくるため、パチパチと気泡が生じますが、酸化が進んでいるときに出る泡はこの泡とは違い、細かく泡立ち鍋から消えません。

粘りが出る

植物性の油はサラサラとしています。酸化によって油の分解が進むと、先述した通り、油はどろりと粘りが出てきます。保管していた油を鍋に移すとき、粘度がある場合は酸化が進んでいるので交換しましょう。

油の酸化を防ぐためには?

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できるだけ防ぎたい油の酸化。油が酸化する要因には、空気・光・熱があるとお伝えしました。これらに触れないようにすることで油が酸化しにくくなります。

空気に触れないようにする

油を保管する際は、なるべく空気に触れさせないようにします。揚げ物をした後に保管する容器は、間口が狭く空気に触れにくいものに入れて蓋をしっかり閉めましょう。容器内の酸素とも反応するので、なるべく口までいっぱいに入れられる容器が良いでしょう。

光にあたらないようにする

油の酸化は太陽の光だけでなく、蛍光灯の光でも進みます。直射日光を避けることはもちろん、電気があたらない暗い場所に保管しましょう。

熱を避ける

保管の際は涼しいところに。使い勝手の良さからコンロの横に置いているという方はいませんか?コンロ周りは特に温度が上がりやすい場所なので、おすすめできません。

なお、一度使った油を鍋の中に放置しておくのは、空気にあたる面積が広かったり、光を浴びやすかったりするので、とても油の酸化が進みやすい状況です。温度がある程度下がったら素早く濾(こ)して冷まし、保存容器に移しましょう。

油が酸化する期間は?何回まで使える??

油の酸化の程度は、保存状態や使用状況により大きく変わります。油の状態をみて、色やニオイなどに問題が無ければ、2〜3回を目安に使うのが良いでしょう。

しかし揚げ物のように、鍋に油を注ぎ(空気・光に触れる)、高温で加熱される食材を調理するのは、油の酸化が進みやすくなる条件がそろった状況であるということ。

その上、揚げた食材から溶け出した成分によっても、油の劣化が進みます。使用後は適切に保存し、早めに使い切った方が安心でしょう。

酸化しにくい油はある?

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油の組成の違いから、酸化しにくい油としてよく知られているものにオリーブオイルがあります。また、抗酸化作用をもつ成分を含む、ごま油や米糠油(こめぬかあぶら)も酸化しにくい油といわれています。

なお健康志向の高まりから近年話題の亜麻仁油やえごま油は、酸化しやすい油のため、加熱調理には向きません。

酸化した油に使い道はある?

酸化した油に特に使い道はありません。先ほど紹介したように、色やニオイが変わったり粘りが出たりと酸化してしまった油は、正しい方法で廃棄しましょう。

揚げ物に1回使った程度では廃棄するほどには劣化しないともいわれていますが、その後の保管方法や次に使うまでの期間の長さで、酸化が進んでしまうこともあります。

揚げ油に何度か使う場合には、酸化した油の見分け方を参考に、よく油を観察してみてください。

また、まだ使用していなくても、一度開封した油は空気に触れ徐々に酸化していきます。開封後の使い切り目安は商品のパッケージに書いてあることも多いので、よく確認し、保管方法に気をつけて早めに使いましょう。

参考文献(全て2020.8.1閲覧)

  • さいたま市健康科学センターサイエンスなび:食用油の劣化について 
  • (公社)福岡市食品衛生協会FAX情報サービス平成30年6月222号:油脂の酸化について
  • 厚生労働省e-ヘルスネット:不飽和脂肪酸 
  • 厚生労働省:食品別の規格基準について 
  • 村上 恵, 伊藤 知子, 原 知子「フライ油の使用限界に関する研究 家庭での揚げ調理における簡便な判定方法の確立をめざして」
  • 実教出版「オールガイド食品成分表」 
  • 女子栄養大学出版部「栄養素の通になる-食品成分最新ガイド 」

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情報提供元:トクバイニュース
記事名:「「酸化した油は身体に良くない」のはナゼ?管理栄養士が解説