今、国会で注目を集めているのが、外国人労働者の受け入れを拡大する「入管難民法改正案」でございます。

失踪した外国人技能実習生に対する法務省調査結果が誤っていたことで、紛糾しておりましたが、ちゃんと時間をかけて議論して頂きたいものでございます。

国会議員の方々が、どれだけ難民について問題意識を持たれているのか、実情を理解されているのか存じ上げませんが、絵本の世界では難民の問題を扱った絵本はにわかに増加しているようでございます。

なんで絵本が?子供にそんな難しいこと?などと思われる方もいらっしゃるかもしれません。平和や戦争をテーマにした社会派の絵本、意外に多いのでございます。もちろん、高学年・大人向きのモノ、幼児向けのモノ、両方ございます。 ちなみに、憲法改正が話題になった、一昨年・昨年にも、たくさんの憲法に関する絵本が出版されました。

ちなみに、日本では身近な問題としての実感がないためか、海外絵本の翻訳がほとんどというのが現状でござます。 翻訳本の中には、子供にも理解できるように、絵や内容を意識した作品もありますが、今回は、大人が楽しめる、考えさせられる大人向けの難民絵本をご紹介させて頂きます。

それがこちら。

「アライバル」(作・絵:ショーン・タン 訳:小林 美幸 出版社:河出書房新社)

実はこちら、年間200冊以上の本を読破する読書芸人のカズレーザーの推薦絵本でございます。世界各国で数々の賞を受賞しております。絵が大人向けで、絵本というよりグラフィック・ノヴェルと呼んだ方が良いかもしれません。

漫画でもコミックでもない「文字のない絵本」でございます。 とにかく読み応えというか見応えがある一冊でございます。通常の絵本のように、パラっと読めると思ったら大間違いでございます。目からウロコ、間違いナッシングでございます。

内容はというと、不思議な架空の国が舞台。主人公の母国が思わぬ災厄に襲われ、家族を置いて新天地を目指すというお話。途中、言葉も通じない見知らぬ国で、苦労したり、小さな歓びをみつけたり…でございます。 日本人が読むと、不思議な世界を描いた上質なファンタジーとしか感じられないかもしれません。

しかし、実は非常に生々しい移民と難民の物語なのでございます。作者のショーン・タン様の父親は1960年にマレーシアから西オーストラリアへ渡ってきており、その父親や知人の移民の体験から、この絵本の着想を得たのだとか。

余談ですが、タン様は、イラストレーター、映像作家として活躍されております。映像の世界では「ロスト・シング」という作品で、第83回アカデミー賞・短編アニメ映画賞を受賞されております。

そのクオリティの高さはお墨付きでございます。 入管難民法改正案が話題の今、大人かっこいい難民絵本、ご体験されてみてはいかがでしょうか。話のネタになること間違いナッシングでございます。 国会の審議でも、この絵本を引用するような政治家の方が登場するようになると、政治への関心も高まるのでは…。

(文:絵本トレンドライター N田N昌)

 

週刊東洋経済 2018年7/14号
Fujisan.co.jpより

情報提供元:マガジンサミット
記事名:「山下法務大臣にも是非読んで頂きたい!大人の間で話題の難民絵本とは…