ディズニー&ピクサー最新作『2分の1の魔法』(8月21日公開)を字幕版で楽しむ人は、主人公イアンが唱える“呪文”にも注目して欲しい。

「子どもの頃からファンタジーとコスプレが大好きだった」と語るピクサーのストーリー・アーティスト、ルイーズ・スマイス氏が、本作の世界に登場する魔法のルールや、どのように呪文のフレーズを考案したのか、その制作過程を教えてくれた。
(※取材は新型コロナウイルス感染拡大前の今年1月に実施しました)

「この作品ならではの魔法を作りたかった」

一口に「魔法」と言っても、絵本や小説、映画、ゲームなど、過去に影響を受けた作品によって思い浮かべる様は千差万別だろう。

「私たちはこの作品ならではの魔法を作りたかったのです。そのためにはまず、独自のルールを作り出す必要がありました。魔法を考えるにあたっては、感情、言葉、物体、動きという要素も考慮する必要があります。中でも、動きを考えるのはとても楽しい経験になりました。主人公のイアンに変なポーズをさせてみたりできますからね。シャイなキャラクターである彼を、殻から出してあげることができるのです。また、感情の要素は、映画の中でイアンというキャラクターに変化を与えるため、また兄のバーリーとの関係を描く上でも使えます」。

16歳の誕生日プレゼントに、亡き父が母に託した魔法の杖と手紙を受け取ったイアン。記されていたのは、“死者を1日だけ蘇らせる魔法の呪文”。実は隠れた魔法の才能をもっていたイアンだが、人生初の呪文に失敗して下半身だけの姿で父を復活させてしまう。兄弟と2分の1の父は、タイムリミット24時間以内に彼の完全体を取り戻すため、キーアイテムである“不死鳥の石”を探し出すクエストに出発する――。

右も左も分からないイアンは、大好きなテーブルトークRPGから魔法に関する豊富な知識を得た兄・バーリーに言われるがまま、見よう見まねで魔法の特訓に励む。「独自のルール」に従い、魔法を信じることで使える初級魔法、感情面のコントロールが鍵となる中級魔法といった具合に、旅を通じた内面の変化に応じて使える魔法が段階的に増えていくのが面白い。

オリジナルの呪文を考案

「動作とあわせて、私たちはイアンに魔法の呪文を与えてあげなければいけません。ダン・スキャンロン監督は、私たちのチームに、『どんな呪文を考えてくれてもいいよ。ただし、短くないとダメ。それに、聞いた時にそれが何を意味するのか想像できないとダメだ。あとは、あまりバカバカしく聞こえないこと』と言いました」。

呪文の開発にあたってはファンタジー好きなオタクたちが部門を超えて集まり、Spell Squad(=呪文分隊)と呼ばれるグループを結成。ウィザードのニックネームで呼び合う和気あいあいとした雰囲気の中で、数々のオリジナルの呪文が生まれた。

見せてもらった1枚の写真には、ホワイトボード一面にびっしりと書かれた呪文の候補が。例えば“空中浮遊”の魔法に対しては、LIFT、FLOAT、APEX、GRAVITAS、ALOFT、ARISEといった関連の単語が並び、それらから派生して考案したオリジナルの呪文を実際の映像とあわせたり、イアン役のトム・ホランドに発声してもらいながら構築していった。

「私たちは考えた呪文をダンに言い、それがどんな魔法なのかを当ててもらうことにしました。映画には出てこない呪文を教えましょう。みなさんは取材で忙しく、たぶんストレスを抱えていらっしゃいますよね。ということで、この魔法はどうでしょうか? “トランクララー”。これがどんな魔法か、想像できますか? そう、心が落ち着く魔法です」。

『ピーターパン』『ファンタジア』『アラジン』などのアニメーションに登場する魔法をリサーチしつつ、あくまでも魔法がその世界にふさわしい、独特のスタイルをもっていることを追求した今作。魔法と言えばディズニー作品の伝統というイメージがあるが、ピクサー作品であるこの映画に魔法が登場するのには、大きな理由がある。今作はダン監督の個人的な体験がベースとなっており、監督の父親は、彼が1歳、彼の兄が3歳のときに自動車事故で亡くなったという。

父親との思い出をほぼ持たない彼は、「お父さんと1日だけでも一緒に過ごせたらいいのに」と考えた。そんなことができるとしたら、魔法しかない。劇中で魔法を使うために感情面のコントロールが重要となるのは、もともと内面の感情から生まれたアイデアだからなのだ。そして、父親を1日だけ蘇らせるような最上級の魔法を使うために、イアンに求められるものとは……。

『2分の1の魔法』2020年8月21日(金)全国ロードショー
https://www.disney.co.jp/movie/onehalf-magic.html

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情報提供元:ガジェット通信
記事名:「呪文のフレーズ会議が楽しそう! 『2分の1の魔法』に登場する“魔法”の作り方 / ピクサー訪問記(2)